注77. ワシントン条約に記載された大学教育の要件

大学教育に関する国際条約であるワシントン条約の中で、日本の大学における教育が、その競い項目から著しく逸脱している部分があります。それは、教育を受ける学生が、講義を担当する教員との直接の接触時間、つまり講義に参加する時間です。日本の大学教育では、一般的に学生数が多く、教員数が不足しています。また、学部学科が細分化されていて、同じ大学教員が、複数の学部学科の異なる科目を担当することも多く、教員の担当科目数が多いのが現状です。このため、大学として1学期の間に提供する1科目当たりの授業回数を減らす必要があります。このため、大学生一人が、入学から卒業までに受けなければならない授業、特に教員による講義が必要な授業の総時間数は、ワシントン条約の条件を満たしていません。これは、1科目の総講義回数を増やすか、1回の講義時間を長くするかによって解決できます。しかし、その場合、教員の教授時間(労働時間)を考えると、教員に専門分野の研究を行う時間が不足することになります。いずれにしろ、大学教員の数を増やさなければ、この問題を解決することは難しいのが現状です。しかし、各大学の教員数を増加させることは、大学の運営経費の増加につながり、少子化で経営が苦しくなっている大学の運営は、今以上に難しくなることが予想されます。簡単には解決できない問題です。

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